狐の嫁入りの現象は、提灯の群れを思わせる夜間の無数の怪火と、日が照っているのに雨が降る俗にいう天気雨の、2つのタイプがあります。いずれの現象も、人間を化かすといわれた狐と関連づけられるほか、古典の怪談、随筆、伝説などには異様な嫁入り行列の伝承も見られます。
今回のJAPAN STORYでは、人間の男性のもとに雌狐が嫁ぐ話で、代表的なものとして、人形浄瑠璃にもなり、平安時代の陰陽師・安倍晴明の出生にまつわるものとしても知られる「葛の葉(くずのは)」を楽しみたいと思います。
「葛の葉(くずのは)」は、室町時代に作られた人形浄瑠璃で「安倍晴明」出生説話の登場人物で、安倍晴明の母とされる「葛の葉狐(くずのはぎつね)、信太妻、信田妻(しのだづま)」とも呼ばれ、その正体は稲荷大明神(宇迦之御魂神)の第一の眷属「白狐」の話です。
話は946年-967年、河内国の石川悪右衛門は妻の病気をなおすため、兄の蘆屋道満の占いによって、現在の大阪府和泉市に行き、野狐の生き肝を得ようとします。現在の大阪市阿倍野区に住んでいた安部保名が信太明神を訪れた際、悪右衛門率いる狩人に追われていた狐を助けるのですが、その際にけがをして悪右衛門に捕まり殺されそうになります。そこに悪右衛門が檀家をしている和尚がやってきて殺生を咎め保名を助けます。この和尚の正体は狐で、元の姿になって去っていきます。その後、女性がやってきて、保名を自分の家まで案内し、いつしか二人は結婚して童子丸という子供を授かります。(これがのちの安倍清明です。)童子丸が7歳のとき、妻の正体が保名に助けられた狐であることが知れてしまい、全ては稲荷大明神(宇迦之御魂神)の仰せである事を告白し去って行きます。
保名は書き置きから、狐が恩返しのために来ていたことを知り、童子丸とともに信太の森に行き、姿をあらわした妻から黄金の箱と水晶の玉を受け取り別れる。数年後、童子丸は晴明と改名し、天文道を修め、母親の遺宝の力で天皇の病気を治し、陰陽頭に任ぜられると言うストーリー!!
面白いですね。