今回のJAPAN STORYは神座(かむくら)に神を招き、神に奉仕する女性「巫女」について呟きたいと思います。
皆さんもご存じの、神社で白い小袖(白衣)に緋袴を着た女性のことで、神子(みこ)・御神子(みかんこ)とも呼ばれます
起源は古事記や日本書紀に登場する神話が元で「八百万の神」という自然界や自然現象などに神が存在し崇拝する中に、太陽神「天照大御神(あまてらすおおみかみ)」の登場する「岩戸隠れの段」という物語があります。ここに登場する「神楽舞」を捧げた「天鈿女命」が巫女の起源とされています。
古代巫女は祈祷や憑依による神のお告げを伝える役目や、儀式においての神楽舞の舞人を担っていました。その地位は高かく、邪馬台国の卑弥呼(日巫女)がその代表です。
そこで、古代巫女がわかりやすい山形県の民話をご紹介します。
むかしむかし、村々は、日照りが続いて困っていました。
村人たちは山の神や水の神に火を焚いて、何日も何日も雨乞いをしましたが、雨は一滴も降りませんでした。
困り果てた庄屋さんが、巫女のところへ出かけて行って、水神さまに雨が降る様にお願いしてもらう事を頼みました。
「わかりました。やってみましょう」
そこで巫女が湖の岸辺の水神のほこらの前でお祈りをしたところ、しばらくして巫女の口を通じて、「わしは、湖に住む竜神じゃが、わしもそろそろ嫁が欲しい。村の中から嫁を選び、三日のうちに嫁入りをすれば雨を降らせよう」
と、お告げがあったのです。
そこで村人全員が庄屋さんの家へ集まり、どこの娘を差し出せばよいかと話し合いましたが、自分の娘を竜の嫁に出そうという者がおらず、いつまでたっても決まりませんでした。
その時、村人たちの前へ庄屋さんの娘が進み出て、
「村の為なら、喜んで竜神の嫁になりましょう」
と、申し出たのです。
急な事なので嫁入り道具が何もありませんが、娘が大切にしていた琴を嫁入り道具として持たせて、白い晴れ着姿の娘を湖の岸辺まで連れて行きました。
そして村人たちが泣き泣き村へ引き返そうとした時、突然に雷鳴がとどろいて、湖の真ん中からすさまじい水柱が立って、2匹の竜が天に駆け登って行ったのです。
2匹のうち1匹の竜は、白い晴れ着姿の娘と同じく、真っ白な竜でした。
間もなく、2匹の竜が登った空から大粒の雨が降って、村は救われたのです。
それから湖は白竜湖と呼ばれ、霧雨の降る日には、湖の中から美しい琴の音が聞こえてくるそうです。
現在の神社で職業として「巫女」という形になっていったのは、明治維新の際、文明開化の中、明治政府は「憑依という超常現象を行う巫女」の存在を否定し、「巫女禁断令」を発します。これにより、旧来の巫女という存在は表舞台から姿を消してしまうのです。
巫女の歴史は時代の権力や文化によって様々に変化してきたのですね。