今回のJAPAN STORYは、全国の神道系稲荷神社の総本社、京都市の伏見稲荷大社の、皆さんがよく目にする狐像について呟きます。
伏見稲荷大社の主祭神・宇迦之御魂神(ウカノミタマノカミ)様は農耕・食物を司る女神様で、おキツネさんは眷属(ケンゾク)と呼ばれ、神のお使いの存在です。
我々の目には見えない存在のため、白(透明)狐=“びゃっこさん”と言います。
お稲荷様の眷属になった背景は、お米の大敵であるネズミを捕えて食べていたキツネを見た人が、お稲荷様の眷属にキツネを結びつけたというのが一般的な説で、別名、「命婦(みょうぶ)」とか、「専女(とうめ)」とも呼ばれ、「女(雌)狐」を意味します。
楼門前にある左右の狐像は『玉(宝珠)』『鍵』をくわえています。「玉と鍵」は、陰と陽、天と地を示しており、万物が二つの働きによって生まれ、また育っていく意味を持っていて、『玉(宝珠)』は稲荷神の霊徳を意味し、『鍵』はその霊徳を身につけようとする願望を意味するらしいです。
「稲荷流記」の白狐伝説も面白いのでご紹介しますね。
平安初期の弘仁年間(810~24)、平安京の船岡山の麓に、年老いた夫婦の白狐が、「自分たちが持つ霊智(予知能力など)を諸人の役に立てたい」と願っていました。しかし、畜生の身であっては、所詮その願いを果たすことはできない。そこで、狐夫婦はある日意を決し、五匹の子狐をともなって、稲荷山の稲荷神に祈願して眷属になることを許されたのです。
男狐は「小薄(オススキ)」の名を授かり上社に、女狐は「阿古町(アコマチ)」の名を授かり下社に仕えることになった。以後、狐夫婦は稲荷神を参詣する信者の前に現れては、お告げを下すようになり、告狐(つげぎつね)とも言われます。
次回は、巫女さんについて呟きたいと思います。